最近は、眠れない人が年々増えているように思います。私たちは、眠れない悩みを抱えている人たちの実態を知るために、2002年3月から年に1回、インターネットを用いたアンケート調査を行っています。今日は、ホームページを通じて今回の市民公開講座を申し込まれた方へのアンケート結果(2004年7月)を中心に、不眠の現状をみていきたいと思います。

 まず、「よく眠れていますか」との質問に「眠れている」と回答した人は21.4%、これは従来の調査結果の半数以下で、今回の市民公開講座を申し込まれた方の実に5人に4人が眠りの悩みを抱えていることがわかります(図1)。しかも、平均5年11ヵ月、長い人では10年以上にわたって悩み続けていることが示されました(図2)


 不眠に悩む人の多くは、不眠解消のためにお茶やコーヒーを控える、ハーブティーを飲むといった工夫をしています。しかし、「寝酒としてアルコールを飲んだ」と回答した人が半数近くもいたことは大変困ったことです(
図3)。2002年に実施した世界10ヵ国の睡眠調査でも、「不眠解消の対策としてアルコールを飲んだ」と回答した割合は日本がトップでした。寝酒は、睡眠の質を低下させ、飲酒量の増加にもつながる不適切な手段であることを今一度しっかり肝に銘じておきましょう。


 多くの人が、生活習慣改善のほかにも医師の診察を受ける、睡眠薬を飲む、など積極的な努力をしています(
図4)。「病院で処方される睡眠薬の服用経験あり」と回答した人は75%にのぼり(図5)、毎晩使用している人が圧倒的に多い結果でした。また、84.3%の人が使用している睡眠薬の名前や効果を把握しているなど、睡眠薬による治療に真剣に取り組んでいる様子がうかがえます。ところが、「現在の治療法に満足している」と回答した人は26.3%、およそ4人に1人にすぎず(図6)、努力のわりに思い通りの効果が得られていないことがわかりました。これは一体どういうことなのでしょうか。



 睡眠薬の使用で副作用を経験した人が半数前後いました(
図7)。ここで注意しなければならないのは、睡眠薬服用前からそうした症状がなかったかということです。不眠によるものか、薬によるものかをもう一度振り返り、状況を正確に医師に伝えることが大切です。また、睡眠薬とアルコールを併用したことのある人が35.3%いました(図8)。こうした使い方は、副作用が強く現れるおそれがあるので絶対にやめましょう。睡眠薬の効果が十分に得られない背景には、これらが一因になっている可能性も考えられます。

 また、薬局で販売している睡眠薬やサプリメントを服用したことがある人のうち、満足いく効果が得られた人はわずか16.1%で(
図9)、医師の診察を受けて治療を行った場合に比べて満足度がきわめて低い結果でした。これらの商品は、ドラッグストアで容易に手に入れることができますが、不眠の解決にはつながっていないのが現状のようです。

 今回、市民公開講座をお申し込みの方の多くが、睡眠状態を改善するために積極的に努力していることがわかりました。しかし、必ずしも満足いく効果が得られておらず、その背景にはお酒との併用など、不適切な睡眠薬の服用方法もあるようです。今後、医師とも十分にコミュニケーションをとりながら、正しい治療を受けていただきたいと思います。

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