血圧を下げる薬には副作用があると聞きます。私の場合は睡眠を十分にとれば血圧が安定します。よく眠れていれば、血圧を下げる薬をやめてもかまわないでしょうか。


血圧を下げる薬の中には、副作用として不眠を来たすものが何種類かあります。高血圧症患者さんの不眠は、まず薬の副作用をきちんと確認することが大切です。十分な睡眠をとると血圧が安定するようですが、しっかり眠ると翌日は活動が活発になり、逆に昼間の血圧が上がってしまうことがあります。また、血圧の薬は継続して服用することで長期的な予防効果が期待できます。自己判断で薬をやめるのは避けるべきです。
(回答者:塩見利明先生)


高血圧症患者ですが、水分を摂りすぎるせいか夜中に3回ほどトイレに行きます。これは高血圧には望ましくないことでしょうか。


高血圧症だけでなく、糖尿病や前立腺肥大、睡眠時無呼吸症候群などでは夜間にトイレに行きたくなって目が覚めることがあります。過度な水分摂取は問題があり、睡眠障害につながると考えてください。ただし、高血圧症患者さんの中には、激しいいびきとともに夜間の頻尿がみられる方がおられます。この場合は、睡眠時無呼吸症候群の治療によってある程度改善します。高血圧症でいびきがひどい方は別の治療法もありますので、ぜひ主治医に相談してください。
(回答者:塩見利明先生)


高血圧症患者が快眠を得るための適切な運動について教えてください。


高血圧症では減塩療法と同じように運動療法が有効です。特に散歩やウォーキングなどの有酸素運動が効果的です。軽症高血圧の治療としては、1日に30〜40分、1週間に4、5回のウォーキングが目安となります。ただし、寝る前の過度の運動は交感神経を興奮して眠りにくくしてしまいます。できるだけ夕方以前、明るい時間帯に運動することをお勧めします。
(回答者:塩見利明先生)




私は毎日のようにいびきをかき、夜中に1、2回トイレへ行くこともあります。朝起きるのが辛く、睡眠不足になりがちです。血圧も高いのですが、高血圧といびきは関係がありますか。また、お酒を飲むといびきがひどくなりますが、睡眠時無呼吸症候群と関係があるのでしょうか。


一般にお酒を飲むといびきがひどくなりますが、いびきをかいている間は息が止まって酸素が不足するため、睡眠時無呼吸症候群とよく似た状態になります。疫学的な調査研究から、睡眠時無呼吸症候群が高血圧を引き起こすことが証明されており、高血圧、いびき、飲酒はすべて密接な関係があると考えられています。いびきが激しく睡眠不足を感じるという方は、睡眠時無呼吸症候群の治療を行う必要があるかどうか、一度検査されることをお勧めします。
(回答者:塩見利明先生)




不眠は血糖値や総コレスロール値に影響を及ぼしますか。


不眠と高血糖は深い関係があります。不眠は血糖値を上昇させて糖尿病を増悪させ、また、高血糖が不眠を誘発することもわかっています。不眠と総コレステロール値の関係については、明らかな関係性は認められていません。しかし、不眠によって交感神経が興奮するとインスリン抵抗性が高まり、脂質代謝異常を来たします。その結果、中性脂肪や総コレステロール値が上昇する可能性は十分に考えられるでしょう。
(回答者:小路眞護先生)


不眠を放置していると、糖尿病と高脂血症の両方に悪いのでしょうか。また、睡眠に効果的な入浴方法があれば教えてください。


「両方の病気」というのが一つのポイントになります。最近、上半身肥満、耐糖能障害、高血圧症、高脂血症の合併した疾患をメタボリック症候群と呼んでいます。このメタボリック症候群の患者さんの問題は、インスリン抵抗性と交感神経の活性化です。つまり、常に神経が高ぶった状態が不眠を増悪すると考えられています。お風呂は心身ともにリラックスし、活性化した交感神経を抑える効果があります。入浴のポイントは38〜40℃ぐらいのぬるめの湯にゆったりと浸かること。休日など時間があれば、半身浴もリラックス効果が期待できるでしょう。
(回答者:小路眞護先生)


私は糖尿病患者ですが、夜中に3回ほど目が覚めます。これはインスリンの分泌に悪い影響を及ぼすのでしょうか。


糖尿病患者さんが高血糖状態になる原因として、インスリンの分泌低下とともにインスリン作用の低下が考えられます。不眠によって影響されやすいのは、主にインスリン作用の低下です。たとえば、強制的に睡眠時間を短くすると、健康な人でさえインスリン作用が低下します。糖尿病の患者さんはもともとインスリン作用が低下していることが多く、そこに不眠がプラスされると、よりいっそうインスリン作用が低下して高血糖状態となります。不眠と糖尿病は無関係だと思われている患者さんが大勢いらっしゃいますが、不眠が糖尿病を増悪させるという事実はさまざまな調査からも明らかにされています。糖尿病患者さんの不眠は早めに主治医に相談するようにしましょう。
(回答者:小路眞護先生)




冬になるとよく、うつ状態になるのですが、季節とうつ病は関係あるのでしょうか。


秋になって日が短くなる頃から調子を崩し、春になると自然に回復するタイプのうつ病として季節性うつ病という特殊型があります。このうつ病は、一般的なうつ病が食欲低下と不眠が主症状であるのに対して、むしろ過眠と食欲上昇がみられるのが特徴です。このような日照時間が関係しているうつ病に対しては光療法が有効ですので、専門医にご相談下さい。
(回答者:清水徹男先生)




現在、62歳になります。抗うつ薬を服用中ですが、寝つけないことが多く、眠りについても2時間ごとに目が覚めます。熟眠感がなく、朝起きるのが辛いのですが、これは老化によるものでしょうか、それともうつの症状でしょうか。


一般に加齢とともに睡眠の質は低下するといわれています。62歳の方の睡眠には個人差があり、ご質問の内容だけでは判断しきれません。ただ、同じような睡眠状態でも、眠れない時間を楽しく過ごしていれば、問題にはなりません。眠れない時間を取り越し苦労に使ったり、過去のことを悔やんだりしているのであれば、心身に悪い影響があらわれてきます。眠れない時間を苦痛に感じたり、昼間の生活にも影響が出てくるようなら、単なる年齢の問題と片付けるべきではありません。また、うつ病は治療がうまくいっても、後遺症として不眠が残りやすいといわれています。うつ病患者さんの眠りの問題はぜひ主治医に相談することをお勧めします。
(回答者:清水徹男先生)


うつで眠りの時間が安定しません。また睡眠薬を飲んでも眠れないときがあり、布団に入る前は不安になります。どうすればいいのでしょうか。


眠れないことがストレスになり、今夜は眠れるだろうか、眠れなかったらどうしようと考えてしまうようですね。これはうつ病の症状でもあり、一般の不眠症にもよくみられる症状です。不眠恐怖症が不眠を呼び起こし、気合を入れて眠ろうとするとさらに目がさえてしまうという、不眠の悪循環に陥っている状態と考えられます。不眠はうつ病やうつ病の後遺症、あるいはうつ病の不完全寛解時にあらわれやすい症状です。抗うつ剤だけでは改善しないこともあります。主治医とよく相談し、必要に応じて抗うつ剤だけではなく睡眠薬を処方してもらうことをお勧めします。(回答者:清水徹男先生)




アルコールと睡眠薬は相性が悪いのでしょうか。また、寝酒で眠れないときに睡眠薬を飲んでもかまいませんか。


現在使用されているベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、脳内のGABA受容体と結合して作用を発揮します。睡眠薬がGABA受容体に結合することでクロールチャンネルという入り口が開き、クロールイオンという物質が神経細胞の中に入り神経細胞を落ち着かせます。ところが、アルコールはこのGABA受容体に頼らずに、人工的にクロール・チャネルを開く作用があります。両者には根本的な作用の違いがあります。よって、アルコールと睡眠薬を一緒に飲むと、GABAの作用にプラスしてクロール・チャネルが開くため、有害作用が出やすくなります。お酒と睡眠薬は一緒に飲まないよう、十分な注意が必要です。
(回答者:清水徹男先生)


寝付きの悪いとき、市販されている睡眠改善薬を使用しています。この薬は「長期に使用しないように」という注意書きがありますが、長期になりそうな場合は病院を受診した方がよいのでしょうか。また市販薬と病院で処方される薬には、どのような違いがあるのでしょうか。


病院で処方される睡眠薬はベンゾジアゼピン系といわれるもので、情動を抑制することによって自然な睡眠を起こす薬です。一方、市販されている睡眠改善薬は抗ヒスタミン薬といって、かぜ薬を飲むと眠気を感じる作用を利用したものです。この市販薬は、病院でもらう睡眠薬に比べて徐々に量がふえていく傾向があり、やめられなくなってしまいます。たまに眠れないというのであれば使用してもかまいませんが、一週間に3日以上眠れない、また不眠が1ヵ月以上の長期にわたるような場合は病院を受診することをお勧めします。病院で処方される睡眠薬は、長期間使用してもきわめて安全な薬です。
(回答者:内村直尚先生)


睡眠薬を長期間服用するとボケると聞きましたが、本当でしょうか?


睡眠薬の服用が、直接的にボケにつながることはまずありません。副作用が特にない場合は、長期間服用してもまったく心配はないでしょう。むしろ、睡眠薬を服用して夜間ぐっすり眠って昼間の活動性を上げた方が、ボケにくいことがわかっています。
(回答者:内村直尚先生)


医師から処方された新しいタイプの超短時間型の睡眠薬と精神安定剤を飲んでいますが、依存性はありませんか。また上手なやめ方はあるのでしょうか。


現在使用されている睡眠薬には依存性はほとんどありません。医師から処方された量をきちんと飲んでいるのであれば、心配はないでしょう。精神安定剤には睡眠効果があります。安定剤と睡眠薬の両方を飲んである程度ぐっすり眠れているのであれば、たとえば安定剤を半量にするなど、少しずつ減らしていくことは可能です。ただし、薬剤の減量は決して自己判断で行ってはいけません。必ず主治医と相談し、少しずつ減らしていくようにしましょう。
(回答者:内村直尚先生)